その上ミの 秋風聞くや 寝釈迦山 (萩原麦草) 場所=葛城山山頂・伊豆の国パノラマパーク(静岡県伊豆の国市長岡260-1) ・明治27(1894)年6月29日静岡県伊豆長岡町に生まれる。本名萩原 三郎。大正14年上京、日本通運に勤め、昭和20年疎開で帰郷。年少より句作をし、「ホトトギス」「鹿火屋」などに投句。大正5年渡辺水巴に師事し「曲水」に参加、のち同人。戦後野呂春眠らと「千本」「新雪」などを発行。中断後28年「壁」を創刊主宰した。静岡県俳句協会委員長。句集「麦嵐」「枯山仏」がある。 ・寝釈迦山は麦草の生家(小坂)の裏手にそびえる葛城山の別称。朝夕眺め暮らした麦草には親しみ深い山で、寝釈迦山の秋風に太古の響きが聞こえてくると。死の前年の作。永遠の時間の前に自己を据えた孤独な魂が感じられる。(伊豆文学散歩)