青字:生徒(勝爺)
茶字:先生(青村豆十郎)
4-3 職人歌合、職人当て
「職人歌合」に書かれる歌は代詠、他の人のツモリで詠む物です。詠み手本人や受け手や実際にその場に居る人の心を反映しませんので、情の歌はそぐわない。従ってどれも狂歌の一種となるわけです。
こうした狂歌技巧は後の世になりまして『調度歌合絵』『四生の歌合』大永四年(15
24)などといった人ではないものにまで歌合をさせる絵巻を産みます。
これが江戸時代の狂歌の「寄する歌」「ヨソエル歌」の元となっていきました。そして、
江戸狂歌のヨソエル歌でも伝統の故か職人に寄することが多いのです。
4-3の課題
1,「5月と恋」をテーマに狂歌をつくってください。
五月蝿いと 蠅に教わる 恋テクに 数打ち当てし 妻に疎まる
<添削>
リズムに難は無く、とても良く出来ています。しかし、内容としては無理に蠅と恋を繋げようとしている感じが否めません。
次回以降も、今回のこの課題のような「復習的な課題」を出すようにしていきます。
2,お住まいの地域にゆかりのある和歌・短歌を何首か、探し出してください。
・蛍舞う 天城の里に ひそやかな 幼き頃の 祖母の声聞く
(伊豆天城短歌コンクール「和歌もんGP(グランプリ)」の最優秀作に選ばれた大釜正明さん)
・初夏の天城おろしに 雲ふかれ みだれて影す伊豆の湖 鉄幹
うぐひすが よきしののめの空に鳴き 吉田の池の碧水まさる 晶子
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4-4の課題です
課題1.狂の境地、「慈悲喜捨の精神」を意識しつつ、「猛暑」あるいは「梅雨」をテーマに狂歌を作ってください。
課題2.伊豆はかつてより人気の観光地であり、多くの歌がのこされているようですね 。この中の与謝野鉄幹・晶子の二首について、「本歌取」で狂歌をつくってください。なるべく狂歌技巧を織り込むようにしつつ「もじり」にならないよう注意してください。