(梁庵平太)
以前、NHKでバングラデシュの縫製業の男性が好景気の波に乗り、業容を拡大しようとしてリーマン・ショックに見舞われ、皆が止める中、「大丈夫だ、俺の腕なら…」と言って計画を押し進めようとするのを見て、私は哀れみを込めて「彼には日本人が普通に知る世界情勢の知識がない。技術屋社長の過信だ」と大いに危ぶんだ。彼がその後、どうなったかはわからない。が、最近思うんだが、いつの時代も起業家の熱情とは多分に過信と野心に支えられているんじゃないかと。松下幸之助、本田宗一郎…、創業後の経営危機を乗り切って始めてナンボなのでは…と。私に彼を嗤う資格はない。