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掛詞と縁語

青字:生徒(勝爺)
茶字:先生(青村豆十郎)

1-3の課題です。

1,掛詞や縁語を用いて四条中納言の代わりに小式部内侍への返歌を詠む。

テキストをよく読み込んだ上でつくってください。歌の内容について、簡単に説明も附してください。

小式部内侍(こしきぶのないし)のエピソード

「大江山 生野の道の遠ければ 未だふみも見ず天の橋立」
小倉百人一首 小式部内侍
歌の作者は小式部内侍。あるとき彼女は歌合に歌を詠進する栄誉を受けます。その時に
四条中納言という人が「丹後のお母さんの所に、代作を頼む使者は出しましたか。使者は
帰って来ましたか」などと言ってきました。
その時、四条中納言の袖をひっつかんで即興で詠んだのが上記の歌です。
「大江山を越えて、近くの生野(京都府亀岡市の古地名)へと向かう道のりですら行った
ことがないで、まだ母のいる遠い天の橋立の地(丹後)を踏んだこともありませんし、母
からの手紙もまだ見ていません」
「生野」と「行く」、「文」と「踏み」の掛かった歌。「ふみ」と「橋」と「行く」は「道」
の縁語です。掛詞、縁語を共に使った見事な歌。
当時、小式部内侍の歌は母が代作しているという噂があったので、四条中納言は彼女を
からかったわけですがこんな歌を返されてしまいました。
四条中納言は狼狽して返歌も出来ずに立ち去ってしまい恥を掻きました。というエピソ
ードです。しかも、その歌は小倉百人一首に採録され後世まで伝わることになりました。>

(k-12)たよりなき いづみ涌く地に いきそびれ 遠き夜道で たんごたべたり

(青村豆十郎)今回は「四条中納言の代わりに返歌」というテーマでした。
前回の裏の目的が「狂歌以外の文芸の方が才能が活きるタイプを早めに見つけておく」でしたが、今回の目的は「狂歌の作り手として優れている点、得意である方向性を見つけておく」ことです。
具体的には次の三点を見ています。「詞の狂」「心の狂」「流れとリズム」です。

「詞の狂」とはここでは縁語や掛詞の技巧です。となるわけですが、今回の課題は先にその点を誘導してあることもあり、全くそれを用いず作るという人は少ないです。掛詞をテキストで紹介した組み合わせ以外で発見していたりすればかなり「心の狂」を期待できる人と言えるでしょう。

「心の狂」では「なんと、びっくり」でも「ぐぬぬ、この小娘が!」でも何でも良いのですが、返歌として(嘘が交じっても良いので)心情を込める、内侍にやり込められた実際の場面を想定するというような手順を踏んだかどうかなどが関係してきます。「心の狂」を強めていった場合、人によっては「プロポーズ」や「口喧嘩」などに近いやりとりを想定して返歌を仕立てます。

「流れとリズム」は歌の全体的な出来です。構造(言葉の配置)や繋がりの良さで作数が増えれば自然と上達します。中には、これが最初から巧みな人も居ます。

狂歌はこの「詞の狂」「心の狂」「流れとリズム」の三つのテクニックが相まってある種の「面白さ(狂味と言います)」を生み出します。テクニックの部分は講義によって教えることができますが、それを面白さに繋げる部分は天性の素質才能に頼る部分が多いのです。

井上さんの今回の狂歌は最後の「面白さ」を引き出すという部分の天性は強く感じられる、特に道草を表現した「たんごたべたり」という部分、とても面白い。
しかし、まだ「詞の狂」「心の狂」「流れとリズム」、このテクニック部分が脆すぎる。そこがとても歯痒い出来になっています。

このうち「心の狂」に関してはちょっと意識してみてくださいと作歌にあたって先に言っておけば大丈夫だと思います。「流れとリズム」もだんだん身に付いていくでしょう。しかし、「詞の狂」には苦手意識があるかもしれません。

今回のコツは掛詞や言葉を「繋げていく」ことです。例えば「たよりなき」から始めたなら「手」とか「身」とか「我」とか直接それを受ける語を入れてそれを更に掛詞になるよう考えていく。
例えば「頼りなき身」「実の無い噂」「噂を被る」「水を被る」「いずみの水」「水が涸れる」「離れぬ妖しさ」……
最後に繋いでまとめれば
たよりなきみのない噂かぶるのはいずみの水がかれぬ妖しさ
ここで余裕があれば少し構造などを推敲してやる。それで一首完成です。
他には「智恵の涌くいずみの水に濡れ衣をきてもおらない文探すかなのように
「涌く」「泉」「水」「濡れ衣」「着て→来て」……という感じ。
繋いでいくという意味はご理解いただけたと思います。

また、今回は最初に縁語と掛詞を講義しているので暗にそれを使えと言っているわけですが、使わないで別な詞の狂を用いて返すことも可能です。
例えば「橋立も踏まずと我を咎め立て伊達酔狂の歌じゃないわなのように「だて」の音の繋がりを使う方法です。

kyoka320-40


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